労政審 労働時間規制除外へ報告書 年収基準明記せず

12月28日8時0分配信 産経新聞
 労働政策審議会厚生労働相の諮問機関)労働条件分科会は27日、一定の要件を満たす事務系社員を「1日8時間・週40時間」の労働時間規制から除外する制度(日本版ホワイトカラー・エグゼンプション)の導入を柱とした報告書をまとめた。除外制度のほか、一定時間を超えた残業の割増賃金率引き上げや、裁量労働制の適用要件の緩和も盛り込んだ。審議会から同日、答申を受けた厚労省は、労働基準法改正案など法案づくりに着手、次期通常国会に提出したい考え。
 報告書は、就業形態の多様化が進んだ結果、個別労働関係紛争が増え、長時間労働の割合も高止まりしていると指摘。雇用ルールの法制化や「働き方の見直し」の必要性を強調した。
 労働時間規制除外制度については、「管理職一歩手前」で一定の責任や権限があることなどを対象者の基準として挙げたが、具体的な年収水準は明記しなかった。ただ、対象者の過労防止策として、週2日相当(年104日)以上の休日確保などを義務付け、違反企業には罰金などの刑事罰を設けるとした。
 割増賃金については「一定時間を超える」労働に対して現行(25%)より高い「一定率を支払う」とした。
 一方、新たに雇用に関する基本ルールを定める労働契約法の制定を提起。労働契約は「労使の対等な立場での合意」が原則としたうえで、就業規則が合理的であれば労働契約になることも明記した。ただ、裁判で解雇が無効とされた場合でも金銭を支払えば職場復帰させなくて済む「解雇の金銭的解決」は法制化を見送り、リストラなど整理解雇の合理性についての基準の明文化も見送った。
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【用語解説】ホワイトカラー・エグゼンプション
 一部のホワイトカラー労働者から1日8時間、週40時間の労働時間規制を外し、残業代の支払い義務をなくす制度。働き方の多様化や成果主義の浸透を背景に、経済界が導入を要望したのが発端。対象者は「(労働時間や休日の規制がない)管理監督者の一歩手前に位置する者」を想定し、(1)労働時間では成果を適切に評価できない業務に従事(2)業務上の重要な権限や責任を相当程度伴う地位(3)年収が相当程度高い−などの条件を兼ね備える労働者とした。

最終更新:12月28日8時0分
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