パート正社員化促進 法に明記、義務づけ 通常国会提出

 厚生労働省は4日、正社員と非正社員格差是正のため、企業に正社員とパート社員のバランスのとれた処遇(均衡処遇)をとることや、正社員への転換を促進するようパート労働法に明記する方針を固めた。現在は同法に基づく指針で法的拘束力のない努力義務だが、法律に書き込むことで一定の強制力をもたせる。パート社員の均衡処遇や正社員転換は、安倍晋三首相が掲げる再チャレンジ支援の中核策でもあり、厚労省は次期通常国会に改正法案を提出する。
 改正法案はパート社員について、(1)責任(職務)や転勤・昇進などの有無(人材活用の仕組みや運用)が正社員と変わらないなら、同じ賃金表や査定基準を使う(2)正社員転換を容易にするための諸制度を整備する−などが柱。均衡処遇に関して、現行法は「均衡等を考慮して必要な措置を講ずる」にとどめているが、これでは不十分として「均衡を図るように努める」と明確に規定する。
 企業が人件費圧縮のために非正社員化を進めた結果、パート社員も多様化し、「子育てを終えた主婦が1日に数時間働く」ばかりではない。
 厚労省によると、平成17年に労働時間が週35時間未満の雇用者は、男性だけで384万人と5年で85万人増えており、「正社員なみに働くパート社員も少なくない」とされる。
 さらに、厚労省の外郭団体、21世紀職業財団による昨年の調査では、職務と人材活用の仕組みが正社員とほとんど同じパート社員の賃金水準が、正社員と「ほぼ同額」は14・5%にとどまり、「8割程度」が24・4%、「7割程度」が19・9%との結果が出た。
 こうした実態を踏まえ、厚労省は「格差是正の観点からも均衡処遇を進める必要がある」と判断。安倍内閣が掲げる再チャレンジ支援に沿って、パート社員の正社員転換促進も強調する。
 独立行政法人労働政策研究・研修機構の昨年の調査では、転換制度を持つ企業は全体の48・0%と半数に満たないうえ、実際に適用実績のあるのは23・3%にすぎない。このため、パート社員に応募機会を与えることを企業の「努力義務」として改正法案に盛り込みたい考え。
 ただ、規制強化を迫られる経営側は「処遇は、各企業がパート社員に求める内容によって変わってくる」(日本経団連)、「パート社員の処遇改善は着実に進展している」(全国中小企業団体中央会)などと反論、法律による義務化には警戒感が根強い。
                  ◇
【用語解説】パート社員
 正社員に比べて労働時間が短い社員で、長時間働くアルバイト社員は含まない。厚生労働省によると、パート社員は非正社員の約7割を占め、雇用者のほぼ4分の1に上る。このため、労働問題の関係者は「パート社員の待遇を改善すれば、非正社員のかなりの部分をカバーすることができる」と説明している。
産経新聞) - 11月5日8時1分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061105-00000000-san-bus_all